やるねっと!美容コラム
大豆の健康効果 vol.2
[~腸内環境とエクオール~]
前回は大豆の健康効果と、大豆食品を取り入れる際のポイントについてお話ししました。
女性の健康と美容をサポートする成分が多い大豆。
今回はその中でも”エクオール”についてお話してみます。
エクオールって何?
大豆の栄養成分の中でも注目されているのが大豆イソフラボンですが、この大豆イソフラボンの恩恵を十分に受け取ることができない人がいることもわかっています。
大豆イソフラボンは腸内細菌の力によってエクオールという物質に変わることで期待される効果を発揮します。
※期待される効果とは
女性ホルモン様作用を持つことによる
・肌を健やかにみずみずしく保つ
・更年期症状
・骨を丈夫に保つ
・血管内皮機能の維持
・前立腺肥大・前立腺がん・乳がん
などにおいて好ましい影響があると報告されています。
少し詳しくお話しすると、
大豆に含まれる大豆イソフラボンにはいくつかの種類があります。
その中の一種、ダイジンという物質が消化管で分解され、特定の腸内細菌(エクオール産生菌)によって代謝され、エクオールという物質になります。
そしてエクオールは、体のさまざまな場所にあるエストロゲン受容体にキャッチされることでその健康効果が発揮されます。
これらのステップを踏んでエクオールの健康効果の恩恵にあやかれるというわけです。
エクオール産生菌がなければエクオールはエクオールは産生されないとされていますが、エクオールを産生できる菌を保有している日本人の割合は研究によって35~97%とばらつきがあります。
大豆食品を習慣的にとる文化のある日本人は欧米諸国に比べて高いと言われていますが、若い年代になる程エクオール産生菌の保有が少ない傾向にあるようで、それはやはり食生活が大きく影響していると考えられています。
エクオール産生菌があるだけじゃ不十分
『日本人女性でエクオールを作る腸内細菌を持っている人は50%ほどだ』という研究が広く知られているところではありますが、調べていくと日本人女性を対象にした同じ研究でエクオール産生菌をほとんどの人(約97%)が持っている、という研究論文が出てきました。
しかし、この中でエクオールを作れていた人はわずか22%だったそうです。
エクオール産生菌を持っていたとしても、その菌がしっかり働ける環境があるかもポイントになるということが示唆されました。
つまり腸内環境によってエクオール産生菌のはたらく力が左右されることが考えられます。
エクオールと腸内環境
さらにその研究によるとエクオールを作れる人の腸内はそうでない人と比べて腸内細菌の多様性、つまり腸内にいる細菌の種類が多いということが認められたそうです。
それらを踏まえてエクオールの恩恵を最大限活かすためにできることをまとめてみました。
①腸内環境を整える
➁大豆製品を取り入れる
③継続して取り込む
① 腸内環境を整える
腸内環境はストレス・不眠・食事・服薬などの影響を受けます。
腸内環境は腸内細菌を味方につける、ということが大切なポイントとなります。
多彩な腸内細菌を育むためには偏食をせず、さまざまな食材をいただくこと。
研究では緑黄色野菜、淡色野菜、根菜、きのこ、青背の魚にお肉、大豆製品などを食べている食習慣が見られたそうです。いわゆる日本食ですね。
食物繊維やオリゴ糖など、腸内細菌の餌となる加工食品やお菓子などはほどほどにし、偏食をせず、さまざまな食品を取り入れること。
また、ストレスや不眠も自律神経のアンバランスを引き起こし、腸内環境を悪化させることがわかっています。
➁ 大豆製品を取り入れる
エクオールの元となる大豆を取り入れる、という目的ではありますが、それだけではありません。大豆には腸内細菌の餌となるオリゴ糖や食物繊維なども含みます。
さらに大豆発酵食品であれば直接菌も取り入れることができますね。
大豆食品を取り入れる上での注意ポイントやコツは前の記事を参照ください。
③ 継続して取り込む
エクオールの量は腸内環境の変化によって日々変動します。
また、ほとんどのエクオールは摂取から72時間程度で体内から消失するとも言われています。エクオールの健康効果を享受するためにはこまめに継続して取ることが大切です。
いかがでしたでしょうか?
ストレスにならないよう無理なくできることから続けてみてはいかがでしょうか。
では、また次回にて
参考文献
https://www.liebertpub.com/doi/10.1089/acm.2018.0050
1. Usui T, Tochiya M, Sasaki Y, et al. Effects of natural S-equol Supplement on overweight or obesity and metabolic syndrome in the Japanese, based on sex and equol status.78(8): 365-372. 2012.
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3. 麻生武志,内山成人.ウィメンズヘルスケアにおけるサプリメント;大豆イソフラボン代謝産物エクオールの役割. 日本女性医学学会雑誌.20(2):313-332.2012.