Crewzの美容コラム
生活習慣病シリーズ vol.4
[~お酒を飲まない人も大切! 肝機能~]
前回は『~諸刃の剣~糖』と題して
糖の体内での働きと糖代謝を乱す生活習慣とその対策についてお話ししました。
今回は肝機能についてお話ししていきます。
肝心要の”肝臓”
肝臓は重さが1kg以上もある最も大きな臓器です。
肝臓というとアルコールを分解するというイメージを持つ方も多いと思いますが、他にもたくさんの働きがあります。
一言で言うと、栄養などさまざまな物質を作り替え(合成)、貯蔵させたり薬物や有害な物質の無毒化(分解・排泄)する臓器です。
また、何千という酵素を使い500以上にもなるという複雑な化学変化を起こしています。まさに肝心要(かんじんかなめ)というように肝臓が元気であるということは、すべての器官にとっても大切なことなのです。
肝臓の働き
代謝機能
糖や脂質、タンパク質の代謝
解毒
体内に取り込まれたり発生した有害物質の解毒
胆汁の生成
脂肪などの消化を助ける働きのある胆汁を生成
貯蔵
中性脂肪の貯蔵
肝臓の4つの働き
肝臓にまつわる3つの数値
健康診断では、肝機能を見る数値として代表的なものにAST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTPがあります。
AST(GOT)
肝臓で作られる酵素の一つです。肝臓の細胞が壊れると血液中に放出されるため、基準値より高い場合は肝臓に何らかのトラブルがあると判断されます。
ALT
ASTと同じく、肝臓で作られる酵素の一種です。ほとんどが肝臓にしか存在しない酵素のため、肝臓の状態が現れやすく、基準値より高い場合は肝臓のトラブルが疑われます。
γ-GTP
肝臓の解毒作用に関わる酵素の一つです。肝臓や胆道のトラブルやアルコールの飲み過ぎなどで高くなります。
健康診断の判定基準
単位:U/L
異常なし | 軽度異常 | 要検査 | 要精密検査・治療 | |
AST(GOT) | 30以下 | 31~35 | 36~50 | 51以上 |
ALT(GPT) | 30以下 | 31~34 | 41~50 | 51以上 |
γ-GPT | 50以下 | 52~80 | 81~100 | 101以上 |
この3つの数値は、影響しあっているため総合的に見て判断されます。
また、一般的な健康診断等の血液検査で基準値に当てはまるのは、病気を発症しない範囲であるという意味です。
例えばASTやALTは基準値より低い場合においてはビタミンB6の不足やたんぱく質代謝の低下の傾向を表します。
肝臓は生活習慣の影響を受けやすく飲酒、肥満、低栄養などによっても細胞に障害を起こします。
肝臓は沈黙の臓器とも呼ばれるほど自覚症状が乏しく、何か症状が出た時にはすでに重症になっているケースや、血液検査の数値が異常に高くなり発見されるケースがほとんどです。
基準値内だが代謝が落ちた気がする、筋トレをしても筋肉がつかない気がする、免疫力が下がってきた気がする、何となく体調がすぐれない・・・
という場合、肝機能が低下しているかもしれません。
肝臓に良い生活習慣
肝臓は優しく労えば長持ちする臓器といわれています。
ここからは肝臓にやさしい生活習慣をご紹介します。
1、生活リズム
最近朝食を抜く人が増えています。
そうすると自然と1食の食事量が増えたり、甘いものなどの間食が増えやすくなり、肝臓に負担がかかり、脂肪が溜まりやすくなります。
また、夜遅くの食事は代謝の要である肝臓にも負担をかけます。仕事などで夕食の時間がどうしても遅くなってしまう場合は、食べ過ぎない、消化の良いものを選択する、あるいは夕方に軽くおにぎりなどをお腹に入れておく、などの対策をお勧めします。
2、適度に体を動かそう
日本人の約2000万人が患っているといわれる脂肪肝。
肝臓に脂肪が溜まった状態のことを言いますが、コロナ禍を機に生活が変化したことにより非アルコール性の脂肪肝になる人が増えていると聞きます。
運動不足は脂肪肝に拍車をかけます。
筋肉の少ない方は筋トレ、すでに筋肉が十分ある方は脂肪をエネルギーとして使用するジョギングやウォーキングなどの有酸素運動が有効です。
3、野菜・キノコ類・海藻類・発酵食品を取り入れよう
糖質、脂質、タンパク質の3大栄養素からエネルギーや新しい細胞を作ったり、肝臓を始め、全身で行われている代謝のほとんどに酸素が活躍しています。その酸素が働くのに、ビタミン・ミネラルが必要です。
ビタミン・ミネラルが不足していると、せっかく取り入れた3大栄養素をエネルギーに変えられずに脂肪として蓄積してしまう可能性があります。
野菜・キノコ類・海藻類や発酵食品はビタミンやミネラルを含むものも多いので積極的に取りましょう。
4、腸内環境を整える
上記3のような食品を取り入れることは腸内環境を整えることにもつながります。腸内環境を整えるというのは、腸内細菌のバランスや多様性を整えるということです。
腸と腸内細菌にはビタミンやホルモン、さらにはアンチエイジング成分や抗酸化作用のある物質を合成する能力があります。(※ポリアミンや水素など)
腸内環境が乱れるとそれらの合成能力が低下してしまいます。
他にも添加物の多い食品や抗生剤、ストレスは腸内環境を乱す原因になります。
5、薬を正しく使おう
薬のほとんどは肝臓で分解され全身に送られます。
処方を守らず勝手に飲む量を増やすと肝臓に負担がかかり、副作用を招くことがあります。
またむやみやたらなサプリメントの乱用も肝臓の負担となります。
肝臓に優しいお酒の飲み方
・食べながら飲む
食べながら飲むと血液中の急激なアルコール濃度の上昇を防ぐことにつながります。
・おすすめのおつまみ
魚や赤身肉、納豆や豆腐などのたんぱく質、海藻サラダやきのこを使った料理などビタミン、ミネラルが豊富な食品は肝臓の働きを助けてくれます。
また、調理法は揚げ物より煮物、蒸し物、鍋物などがおすすめです。
・休肝日を設ける
アルコールの分解は肝臓にとても負担のかかる作業です。
一日、できれば連続して二日、アルコールの分解作業から解放してあげると、その分代謝や解毒など他の作業に力を発揮することができます。
生まれてからずっと休まず文句も言わず働き続けてくれている沈黙の臓器、肝臓。
肝臓が元気に働いてくれていることで私たちの体全体の機能も守られているのです。
ご紹介したものの中から、一つでも取り組めることを増やしてみてください。
いかがでしたでしょうか?
自分の食生活を振り返ることで毎日の生活習慣を見直し、よりよい食習慣を増やしていけると良いですね。
では、また次回にて