Crewzの美容コラム
鉄不足と美容の意外な関係
前回は鉄不足が健康に与える影響をお伝えしました。
今回は鉄が美容に与える影響についてお話していきます。
前回、赤血球の構成要素である鉄は酸素とくっつき、ヘモグロビンとして全身に酸素を運ぶ重要な働きをしているため、その量が減少すると全身が酸欠状態となり、全身にさまざまな影響を及ぼすことをお伝えしました。
『その名もなき不調の原因は○○不足かも!?』(前回のコラムはこちら)
鉄が不足して生じる鉄欠乏性貧血になると、倦怠感や冷えなどの健康状態にとどまらず美容にも大きく影響します。
貧血によって血流が悪くなることで、栄養が肌や粘膜に十分に届かなくなりさまざまな症状が現れると考えられています。
鉄の美容効果
健やかな粘膜や皮膚を維持する
鉄不足になると皮膚や粘膜が酸素不足の状態になります。それによって健康な粘膜や皮膚が作られにくくなったり、再生しづらくなります。肌の乾燥やひどくなると口角炎や吹き出物ができやすくなります。また、アトピー性皮膚炎の引き金となることがあります。
コラーゲン生成にも関わる
鉄は皮膚の真皮層に存在し、肌に弾力や潤いを与えるコラーゲンの生成に欠かせない栄養素です。鉄分が不足するとコラーゲンがうまく合成できなくなります。
そもそも鉄不足では血液が十分に酸素を補給できないため血行不良を起こします。そうすると血液を運ぶ毛細血管へも影響を及ぼし、肌の健康に必要な栄養が届きにくくなることが考えられます。
そのためコラーゲンだけでなく、エラスチンやヒアルロン酸といった美肌を保つのに必要な成分が減少し、ハリや弾力が失われます。
顔の透明感に影響する
血液の赤い色はヘモグロビンの色です。
鉄が不足すると、血液中ヘモグロビンが減少し血液の色がくすんだ状態になります。
その結果、顔色が悪く見えることにつながります。
”血色のいい肌”は、鉄分が赤血球にしっかりある状態なのですね。
逆に血色の悪い肌は青くすみと呼ばれたりしています。
しみの出来やすさに影響する
皮膚はターンオーバーと言って古い皮膚は剥がれ落ち、新しい皮膚が再生する、という代謝のサイクルを繰り返しています。
理想のサイクルは28日程度と言われていますが鉄分が不足して肌への酸素量が減るとサイクルが乱れたり、長くなってしまいます。すると、古い皮膚が居座りゴワつきの原因になったり、しみが出来やすくなる要因となることがあります。
艶やかな髪をつくる
食事などで摂取した栄養素は、生命を維持するのに重要な心臓や腎臓、肺といった臓器から使われていきます。皮膚や毛髪は排泄器官とも言われており、そういった場所に栄養を届かせるためにはしっかり継続して食事で必要な栄養をバランスよく取り入れていく土台が必要です。
特にヘモグロビンはタンパク質と鉄が結合したものです。
皮膚を構成する主成分のコラーゲンもおよそ40%がタンパク質です。
その代謝に必要なビタミンB群も併せて意識してとるように心がけることが大切です。
暑い夏はのど越しの良いそうめんやうどんなど、単品メニューに偏りがちでどうしてもタンパク質やビタミン・ミネラル類が不足する傾向があります。
また、猛暑で汗をかく機会も増えます。汗とともにミネラルは流出します。
鉄も汗とともに流れ出てしまう成分の一つです。それらを踏まえて、夏は特に貧血には注意が必要です。
そこで今回は夏に食べることの多いそうめんにひと工夫するだけの美肌メニューを紹介します。
タンパク質や鉄分などのミネラルに抗酸化作用のあるβカロテンを含む食材をご紹介します。
○ そうめんチャンプルー
そうめんを表示の半分ほどの茹で時間で茹でた後、フライパンで炒めた沖縄の郷土料理です。
具はゴーヤやニラ、ツナなどを入れることが多いですが、サバ缶、厚揚げ、黒木耳などはタンパク質、鉄分が豊富でおすすめです。胡麻油と顆粒だし、塩で味付けも簡単。トマトベースなどに味変するなどレパートリーが広がります。
○ 冷やしけんちんうどん風
素うどんだけでは栄養は偏ります。うどんのつゆを味噌仕立てにして、小松菜や厚揚げ、卵を茹でてプラスするだけでタンパク質、鉄分、さらに抗酸化作用で美肌にも嬉しいビタミンAやビタミンE、代謝を促すビタミンB群も取り入れることができます。
ベースの汁は冷やして食べるので、やや濃い目にするとよいです。
口当たりも良く食欲が落ちやすい夏にぴったりです。
具材はあらかじめ茹でたものをストックしておくと料理を作る気力がない時にも楽です。
いかがでしたでしょうか?
気温が高くなると、だるさや立ちくらみなどの不調を訴える人が結構いらっしゃいます。
「夏バテ?」でやり過ごさず鉄分不足による貧血の可能性も考えてみると体もお肌もはつらつと夏を過ごせるかもしれません。
では、また次回にて
参考文献『Iron』Harvard T.H. Chan School of Public Health
https://www.hsph.harvard.edu/nutritionsource/iron/