生活習慣病シリーズ vol.5

Crewzの美容コラム

生活習慣病シリーズ vol.5

[~体内の見張り番! 血液を濾過する腎臓~]

前回は『~お酒を飲まない人も大切! 肝機能~』と題して
肝臓の働きと肝臓に良い生活習慣についてお話しました。
肝臓の働きは一言で言うと栄養素を作り替え、不要な物質を分解する働きがありました。

『~お酒を飲まない人も大切! 肝機能~』(前回のコラムはこちら)

今回は”肝腎要”の肝臓に次いで、腎臓についてお話していきます。

1)尿を作る~体内の老廃物を排出する~

血管から受け取った血液で尿をつくり、腎臓から尿管へと流れていきます。
血液から不要な物質をろ過するのは腎臓の糸球体という部分です。糸球体は小さな穴の空いた毛細血管の塊で、この穴を使い血液の中の老廃物を尿として排出しています。再利用できるものは血液とともに体内に戻します。
腎臓の働きが悪くなり尿をつくる機能が衰えると、排泄されるはずの老廃物や塩分などが体に残り、様々な病気を引き起こします。

2)水分や塩分のバランスを保つことによって血圧をコントロールする

腎臓は体内の体液量やイオンバランスを調節したり、体に必要なミネラルを体内に取り組む役割を担っています。
腎臓の働きが低下すると、血圧を調節する働きも弱まります。また、体のむくみとなって症状が現れます。

3)血液をつくらせるホルモンを分泌する

腎臓はエリスロポエチンというホルモンを分泌しています。エリスロポエチンは赤血球を増やす働きがあります。
赤血球は酸素を全身に運び、二酸化炭素を運び出す働きをしています。赤血球が少なくなると貧血になることはよく知られています。
怠さや疲れ、息切れ、動機などを引き起こしやすくなります。

4)骨を丈夫にする

カルシウムの吸収に必要なビタミンDを活性化し、強い骨をつくります。
腎臓の働きが低下すると活性型ビタミンDが不足し、血液中のカルシウムが低下して骨が弱くなると考えられています。

このように腎臓は尿を作るだけでなく”体内の見張り番”のような役割も担う、非常に重要な器官なのです。

体内の見張り番

腎臓にまつわる4つの数値

健康診断では、腎機能をみる数値として代表的なものに以下のようなものがあります。

クレアチニン
クレアチニンは、筋肉を動かしたときに代謝されできる老廃物のことです。
血液中のクレアチニンの数値が高い=腎臓での濾過される血液が少なくなっていると考え、腎機能を反映する数値として捉えられています。

eGFR
糸球体が1分間にどのくらいの血液を濾過し、尿をつくったかを推定したもの。
腎機能の低下で数値は低く出ます。

尿たんぱく
尿に蛋白が含まれているかをみています。
腎臓や尿管などに異常があると、タンパク質が再吸収されず尿中に排泄されることがあります。

尿糖
尿に糖が含まれているかをみています。
糖が含まれる場合、腎臓機能の異常や高血糖が疑われます。

健康診断の判定基準

要注意異常
クレアチニン(mg/dl)男性:1.01 以上
女性:0.71 以上
男性:1.30 以上
女性:1.00 以上
腎機能
eGFR (mL/1.73㎡)59.9 以下44.9 以下41~50
尿蛋白(±)(+)(2+以上)81~100
尿糖(±)(+)
日本人間ドッグ学会・検査表の見方(2018年4月改訂版)より

腎臓に良い生活習慣

腎臓は一度機能が失われると回復することがほとんどないといわれています。腎臓と同じく「沈黙の臓器」とも呼ばれ、自覚症状のないまま悪化してしまうことも多い器官です。
腎臓の病気でも特に多い「慢性腎臓病」は生活習慣が大きく影響します。
糖尿病、高血圧、加齢、これらは腎機能低下を引き起こす要因の一つです。

加齢はどうにもできませんが、糖尿病、高血圧は生活習慣で、ある程度予防することができます。

ここで腎臓をいたわる生活習慣をご紹介します。

【腎臓をいたわる生活習慣】

・肥満を防ぐ(適度な運動と食事量)

肥満がある場合は肥満の解消に努めましょう。

『~病気のモトは過剰な内臓脂肪~』(前回のコラムはこちら)

適度な運動の継続で、腎機能の低下や筋肉量の減少を防ぎ腎機能の維持・向上につながります。

・塩化ナトリウムのとりすぎに気をつける

食卓塩や醤油などの調味料、ちくわなどの魚肉練製品、インスタント食品などの加工食品には塩分が多く含まれるものがあります。
塩は「かける」より「つける」、醤油の代わりに醤油より塩分濃度の低いポン酢に置き換えるなど、使い方の工夫で無理なく減らすことができます。

・適切な水分摂取を意識する

適度な水分補給を行わないと脱水症状を引き起こし、腎臓に負担がかかります。
こまめにちびちびとることがポイントです。
※すでに血液検査等でひっかかるほど腎機能が低下している方は、医師と相談の上、水分摂取量を決めましょう。

・排尿を我慢しない

排尿を我慢すると膀胱炎を引き起こしやすくなったり、腎臓に負担をかけるのでやめましょう。

・必要な薬やサプリメント以外は飲まない

過剰な薬は腎臓に負担がかかります。用法・容量や目安量を守りましょう。

・アルコールは適量を心がける

大量の飲酒は腎機能低下のリスクを高めるとの研究もあります。
少量のアルコールであれば逆に腎機能を高めるとの研究もありますが、尿酸を排出するのに腎臓の機能に負担がかかりますから、おいしいお酒をほどほどに嗜むのが良さそうです。

  アルコールを飲み過ぎている男性で腎機能が低下 適度な飲酒であると予防効果も 特定検診受診者30万人強を調査
│糖尿病リソースガイド

https://dm-rg.net/news/14d3ef9b-b232-473e-8602-609bec5892bf

特に加齢とともに味覚が鈍感になり、塩分濃度が濃くなったり、のどの渇きを感じる機能が低下する傾向があるので意識しておくことが大切です。
恐ろしいのは、慢性化した腎臓病の行き着く先は「慢性腎不全」ということ。
最終的に人工透析や腎移植が必要となってしまいます。
後戻りできなくなる手前の段階でできることは日々の生活習慣です。

いかがでしたでしょうか?

自分に合った続けられる方法でコツコツ健康行動を続けていきましょう。

では、また次回にて

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